こんにちは。ミミコです。
離乳食を始める時期には、早すぎ・遅すぎってあるのかな?
食べる機能の発達のきまり
発達には基本的なきまりがあります。おおむねそのきまりに従って発達します。
- 環境との相互作用で発達する
- 最適な時期がある
- 発達には順序があり、一足飛びに発達しない
- 今の動きの中には、次に獲得する動きが混じっている
- 日々向上する訳ではない。停滞しているようにみえてもそれは次の発達への準備である
- 個人差が大きい
1.食べる機能は環境との相互作用で発達する
食べる機能は、口やノドなど、単独では発達しません。
必ず環境と相互に関わることで発達します。
例えば、離乳初期には、うまくモグモグができません。しかし、ヘタながらも毎日食べることで、食べる機能は発達していきます。そして機能が発達すると、より硬くて形のある食べ物に変えていきます。
体と環境がお互いに関わることで、発達は進んでいきます。
これが、いつまでたっても哺乳瓶でミルクばかり飲んでいてはどうでしょう。
体は液体以外の環境に関わることができずに、固形物への発達は阻害されてしまいます。
また、「食べる機能に影響する環境」は食べ物や食器だけとは限りません。
指しゃぶりやおもちゃ舐めも、食べる機能を高めます。
また、椅子に座って遊ぶことも、頭がぐらぐらせずに姿勢を保つように発達させ、食べる機能を高めます。
赤ちゃんを取り巻く色んな環境が、食べる機能を発達させているのです。
● 障害をもつ子どもにこそ、豊かな環境を!
体に障害があって指しゃぶりができなかったり、口の中が過敏で色んな食感の経験が出来なかったりすると、順調に発達しないことがあります。
周囲の人がサポートして、赤ちゃんにできるだけ色んな経験をさせてあげたいですね。
遊びや姿勢、大人の関わりなど、赤ちゃんを取り巻くすべてを環境として捉え、食べる機能ばかりに目をむけることのないようにしたいです。
2.食べる機能の発達は、最適な時期がある
骨や筋肉・神経などの発達と、食べる機能の発達は深く関係しています。
哺乳期には哺乳期に最適な口の形や大きさ、咀嚼には咀嚼に最適な口の形や大きさとなっています。
ですから、咀嚼に最適な口の形や大きさの時に、哺乳をしていては理想的な発達はできません。
かと言って、「時すでに遅し」なんてことはありません。
最適な時期よりは長い期間が必要かもしれないけれど、発達の順序どおりに一つずつクリアすることで、食べる機能は発達していきます。
●最適な時期がわかりにくいことも
体にマヒがある子どもは、首がすわらない、お座りが遅い、手でおもちゃを持たない、など、食べる機能の他にも気になることがありますよね。
食べる機能は、体の発達と深い関係があります。体の発達が遅れると、食べる機能の発達も遅れがちです。
体はゆっくりでも成長しているのに、食べる機能は哺乳にとどまっている子どもも少なくない印象です。最適な時期を逃しているんですね。
かと言って、最適な時期を見定めるのは、専門家じゃないと難しいと思います。専門家であっても、その日の子どもの体調や機嫌、食物の好き嫌い、食事のタイミング、などが影響して、食べられるのに食べなことがザラにあります。
子どもも哺乳瓶に慣れてしまって、スプーンやコップから飲むのを嫌がりますが、でも大丈夫。
時期を逃しても、練習すれば少しずつできるようになります。
3.発達には順序があり、一足飛びに発達しない
では、最適に発達する場合でも、遅れて発達する場合でも、発達には順序があり、一つ一つクリアすることで前進します。
最適に発達している場合でも、発達の順序を飛び越えてはいません。
例えば
- 舌の動きは哺乳時は前後に動きます
- 次に上下に動くようになり、この段階は柔らかいものを舌と上あごで押しつぶせるようなります
- そして左右に動くようになり、咀嚼できるようになります
ざっくりな説明ですが、舌の動き一つをとっても、おおむね①→②→③の順序で発達するのです。
●丸飲みする場合には
発達を急いでしまうと、子どもは一つ一つクリアできないまま、難しい食べ物に適応するようになります。
例えば、発達はまだ「舌と上あごで押しつぶして食べる」段階なのに、咀嚼を必要とする固さの食べ物を与えると、噛まずに丸飲みするようになることも。
みかん一房を苦もなく丸飲みしている子、食べる機能の発達を支援したことがあります。咀嚼ができていなかったので、まずは前歯でかじり取る練習から始めました。ゆっくりペースで、咀嚼が発達していきました。
4.今の動きの中には、次に獲得する動きが混じっている
「食べる」という動きには、歯・舌・唇・首・感覚・神経・筋肉など、たくさんの器官が関係します。
それらの器官が複雑に協調して食べられるようになりますが、最初はどの器官も未熟で、難しい動きはできません。
哺乳の段階は咀嚼段階の予行練習とも言えます。咀嚼段階で必要な舌の①前後、②上下、③左右の動きのうち、①前後、を練習しているんです。
もちろん、舌だけじゃなく、その他のたくさんの器官が予行練習をしているのです。
5.日々向上する訳じゃない。停滞しているようにみえてもそれは次の発達への準備だよ
「水分をコップで飲む段階にはなったけど、咀嚼はなかなか進まない」。
これ、結構多いんです。
そもそも発達は、日ごとに着々と伸びる訳ではありません。
例えば、なかなかおしゃべりしない子が、いざおしゃべりし始めると、すごい勢いで伸びることがあります。単語の数や概念のすぐに理解したりして。
このことから分かるように、おしゃべりしていない時期は発達がストップしている訳ではないんです。
この時期は着々とおしゃべりの準備をしているんです。
食べる機能も同じで、リハビリをたくさんしても、ちっとも伸びがないように見える時期があります。変化のなさに「諦めようか」と思うこともあるかも。
でも!次のステップへの準備と考えて、気長くどっしり構えてみて!
6.個人差が大きい
人間に個人差があるのは当たり前で、子どもの発達にも当然個人差があります。
でも、つい他の子と比べたり、育児本の目安を見て不安になったりします。しかし、早いから良いというわけではありません。
その子のその子の発達スピードがあるので、それに合わせて一つずつクリアすることが大切です。
傍でみていると遊んでいるようにしか見えないけど、全ての活動は食べることにつながっているんです!
まとめ
- 赤ちゃんを取り巻く色んな環境が、食べる機能を発達させる
- 発達には子ども一人ずつに最適な時期があるけど、多少遅れても気にしない
- 発達の順序どおりに一つずつクリアする。順序を飛び越える弊害もある
- なかなか発達しない時でも、次の段階への準備中
2)日本摂食嚥下リハビリテーション学会 eラーニング対応 第6分野 小児の摂食嚥下障害;日本摂食嚥下リハビリテーション学会, 医歯薬出版, 2010