こんにちは。ミミコです。
ママからの相談で多いものの一つに吃音(きつおん)があります。
何かストレスがあるのかな?
そう。「まだ3歳なのに」と思うでしょう?
言葉が出にくかったり、どもっていると、「緊張してるのかな?」「ストレスかな?」など、心理的なことが原因だと思いがちです。
幼児は緊張やストレスと縁がなさそうだから、「こんなに幼いのに吃音?」と思う訳です。
実は吃音が始まる年齢は3歳が一番多いのです!
「しつけが厳しすぎるのでは」「ママが外で働いているからでは」など、じいちゃん・ばあちゃんや知り合いに言われたりして(それは全くの間違った情報なんですが)、ママ達も悩むことがしばしばあります。
ママが悲しい顔してたら、子どもも悲しい。子どもはママが大好きだから、ママにはいつも笑っててほしい、と思っているものです。
だからこそ、吃音を正しく理解することがとっても大事。周囲に惑わされず、自信をもって子育てできます。
吃音とは
どもることを吃音といいます。
吃音というと、「お、お、おはよう」と言葉の出だしを繰り返すイメージですが、実は色々なタイプがあります。
吃音の3つの中核症状
①繰り返し(連発):音・音節・語の一部を繰り返す
②引き伸ばし(伸発):音をひきのばす
③ブロック(難発):音がつまって出ない
その他の症状
④語句の繰り返し:単語や短い言葉を丸ごと繰り返す
⑤挿入:「えーと」「あのー」「なんていうか」などの言葉を入れる
⑥言い直し、中止:はじめから言い直す、違う言葉に替える、話すのをやめる
⑦随伴運動:言葉のつかえに伴って、体のどこかが動く
まばたき、首を振る、手で足をたたく、大きく息を吸う など
吃音は出やすい・出にくいがある
●緊張する
●急に発言を求められる
●独り言
●ささやき声
●誰かと一緒に同じ言葉を言う
●何かの音を聞きながら話す
吃音の原因
原因は分かっていません。
緊張すると出やすいので、心理的な問題だと思われがちですが、はっきりとは分かっていないのです。
にもかかわらず、こんな誤解をされがちです。
✖ 親の育て方が悪い
✖ 左利きを右利きに強制したから
✖ ストレス
✖ 環境の変化
✖ 愛情不足
子どもがどもりはじめると、親は「何が原因なの?」と悩むものですが、はっきりと原因は分かりません。
原因は一つだけではなく、性格や環境、遺伝などいろいろなことが絡み合っていると考えられています。
それより、吃音があっても、どうやって今を楽しく過ごすか? に目をむけたほうがいいのです
吃音はいつ始まる? 発症率は?
吃音を発症することを発吃(はっきつ)と言います。
●幼児期では20人に1人が吃音
●多くは3~4歳に始まる
●就学前に発吃する子どもは7~9割
●就学後や大人になってからの発吃もある
●男の子の方が女の子よりも多い
保育園の同じ組に1人ぐらいってことは、めずらしくはないですね!
大人の吃音は?
大人ではどうなのかな?
●大人では100人に1人が吃音(1%)
●人種や言語によらず世界共通
●昔と今を比べても変わらない
●男性が女性よりも多い
●子どもの時よりも、男女比が拡大する
吃音は治る?
ということは、大人になるにつれて、吃音は自然に治るんですか?
小学校入学後も症状がある場合、「そのうち治るだろう」とは考えない方がいいでしょう。
幼児期は吃音の出かたに波がある
発吃して数年間は、吃音が出る時期と出ない時期を繰り返します。まったく出ない時期もあります。
一方、就学後には、吃音が多いか少ないかの波はありますが、まったく出ないことは殆どありません。
子どもには悪いけど、ちょっとだけ残念に思っちゃった…
このことを知っておくと、一喜一憂しなくて済みそうです
吃音の基礎知識 まとめ
- どもる以外にも色々な症状があります
- 3歳くらいから出始め、就学前に治ることが殆どです。しかし、就学後も続くこともあります
- 原因は親の愛情不足やストレスではありません。色んな要素が絡み合っています
1)歴史的事実を踏まえた吃音の正しい理解と支援;菊池良和, 小児耳35(3):232-236, 2014
2)記憶・情動系の可塑性と吃音の治療;都筑澄夫, 音声言語医学43:344-349, 2002
3)吃音を意識した年齢に関する検討;菊池良和ほか, 音声言語医学56:321-325, 2015
4)吃音患者への対応;森浩一, 日耳鼻:2015
5)子どもがどもっていると感じたら;廣嶌忍ほか, 大月書店, 2004
6)子どもの吃音 ママ応援BOOK;菊池良和, 学苑社, 2016